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読んだ本とか見たアニメとかの感想とか色々気の向くままに書いてます。 管理人のブレーキは錆びてて利きにくいです、よって異常なことを口走ること多し。 注意されたし。
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14 2025 / 05
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16 2007 / 10
虚人たち 著:筒井 康隆

前に読んだ筒井さんの『残像に口紅を』と同じ、実験的小説。
これには、会話分以外には殆ど改行が無く、さらに読点も殆ど打たれていない。
主人公を始め登場人物は全て「虚構」の中の存在だということを自覚し、それに基づいて行動している。
だが、勿論全ての人間にとって自分のいる虚構の主人公は自分なわけだから、中には主人公に描写されることによって脇役になることを嫌がる人間もいる。
そして主人公も虚構内存在ということを自覚しているため、主人公は自分の周りに配置されたものを、これは作者の伏線なのか、何かこれによって象徴されている物があるのか、そんなことを考えたりもしてしまう。
さらに面白いのは、原稿用紙一枚分が一分に相当し、リアルタイムで話が進んでいく。
普通の小説なら、主人公が目的地から目的地に移動する間は必然性が無ければ削られてしまうのだが、これの場合はリアルタイムで進んでいるのでそうは行かない。
食事から移動から排泄から睡眠まで全て描写している。
だが、勿論睡眠の間は描写している主人公の意識が途切れているわけだから、それも時間に合わせて空白のページが暫く続く。
主人公は思考する事を止めてはならないため、移動中もこと細かく周囲の風景を描写している。
他にも、未来や過去へと焦点が移ると、そのまま主人公の意識も移動すなど、虚構だからこそできる手法が用いられている。

私としてはかなり好きだった。
筒井さんの実験的小説は思いつかないような、または思いついても誰もやらないだろうって事をほんとにやっちゃう所が素敵。
まぁ、実験的小説てのはそう言うものだけどもね。
読点無くて読みづらいかな?とは思ったけど案外平気だった。
それにしても、この人は虚構についてよく考えるんだね。
現実が虚構に近付き、虚構が現実に近付く。
この人の実験的小説は一貫したテーマがあるようだね。
実に面白い。
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